こんにちはnaviです。
今回の記事では、線維筋痛症患者の私が作業療法士としての知識をもとに実践中の、無理なく取り組める運動を紹介します。
こんな悩みを持っている線維筋痛症患者さんやご家族様はいませんか?
naviの担当医の話では、線維筋痛症の患者さんは痛みのため運動に取り組めず、からだの弱っている方が多いようです。
実は、線維筋痛症には『等尺性収縮』の運動がおススメです。
しかし、筋収縮のメカニズムを知らず、等尺性収縮の運動に取り組めていない方が多い実情があります。
実際、naviの担当医師もひたすら散歩と軽い運動を勧めてきますが、どのような運動をすれば良いかは具体的に答えてくれません。
今回の記事では、筋収縮のメカニズムや等尺性収縮を伴う負担の少ない運動を分かりやすく紹介していきます。
この記事で分かること
- 筋収縮の種類とメカニズム
- 線維筋痛症患者におススメな等尺性収縮を伴う運動
画像付きで運動を紹介しているので、
ぜひ一緒にチャレンジしてみましょう。
筋収縮の種類とメカニズム
運動には、筋肉の活動が必要になります。
筋肉の活動を収縮といい、脳からの信号が筋肉に伝わって筋繊維が収縮することで、骨格の動きを生み出します。
筋収縮には大きく『等尺性収縮』『等張性収縮』『等速性収縮』に分類され、特徴は以下の通りです。
等尺性収縮
『等尺性収縮』は、筋肉が一定の長さを保ちながら収縮することで力を発揮する筋収縮で、関節の動きを伴わないのが特徴です。
手のひらを壁に押し付けて力をいれる『壁押し』動作をイメージしてください。
壁を押している間、力が入っている=筋収縮が起きている状態ですが、筋肉の長さは変化せず関節の運動も生じていません。
このように筋肉は収縮しているのに、長さが変わらず関節の動きがない状態が、『等尺性収縮』です。
等尺性収縮運動のメリット・デメリット
メリット
- 特別な道具を必要としないので、場所や時間を選ばず取り組める。
- 自分で負荷を調整できるので、痛みや体調に合わせて運動を実施できる。
- 負担が小さいので、高齢者や痛みがあるひとでも機能維持訓練として取り組みやすい。
デメリット
- 自分の力以上の負荷を掛けることが出来ない。
- 機能維持の側面が強く、筋力を向上するトレーニングには向かない。
等張性収縮
『等張性収縮』はダンベルなどを使用して一定の負荷を掛けた状態で、筋肉が伸び縮みしながら力を発揮する筋収縮です。
動作時に関節の角度が変化することで、負荷量が変化します。
自重や鉄アレイなどの簡単な器具でも実施できますが、素人の判断よりも専門家の指導に従い、トレーニングマシンを用いて実施する方が正確な結果を出せます。
等張性収縮運動のメリット・デメリット
メリット
- 筋力の向上と持久力の向上どちらにも対応できる。
- トレーニングマシンを使用することで、負荷を正確に調整できるため筋力向上効果が高い。
デメリット
- 高負荷で行う場合、関節に負担がかかることがあります。
- 筋力が低下しているときに負荷量を間違えると、ケガをしたり痛みの原因になることがある。
等速性収縮
『等速性収縮』は、筋収縮を一定の速度で行い関節の運動を伴う収縮で、等尺性収縮と等張性収縮の効果を併せ持つ特徴があります。
自分の力と同じくらいの負荷で運動ができますが、正しく行うためには専門的な知識や専用の器具が必要になります。
等速性収縮運動のメリット・デメリット
メリット
- 過負荷になりにくく、関節や筋肉に対する負担が少なめである。
- 関節の角度に関係なく一定の負荷をかけることが可能である。
デメリット
- 特殊な器具が必要になるので、手軽に実施出来ない。
- 正しい知識と技術がなければ、目的の効果を得られにくい。
- 日常生活の動作とは異なる運動なので、訓練効果を生活動作に反映しにくい。
作業療法士がおススメする等尺性収縮の運動3選!
等尺性収縮を利用した運動は、特別なトレーニング器具を必要としないのでどこでも取り組めます。
また、負荷量を自分で調整できるので無理なく運動に取り組めるメリットもあり、非常におススメです。
作業療法士として病院で勤務していた時には、私もご高齢の方や痛みを訴える方にリハビリの初期に導入していました。
関節の動きを伴わない簡単な運動が多いのですが、なかでも私がおススメする運動を3つの紹介します。
腕の運動『手のひら相撲!』
『手のひら相撲!』は腕の運動です。
道具不要で場所や姿勢も選ばないので、やりたい時に簡単に実施できます。
できるときに気軽に手のひらを合わせて、互いに押し合いましょう。
腕の運動『手のひら相撲!』の方法
- 左右の手のひらを胸の前で合わせます。
- 息を吐きながら5秒間押し合います。
- カウントが終わったら、ゆっくりと力を抜きます。
- 5秒ほど休憩したら1.から繰り返します。
※はじめは5回くらいから実施して、余裕があれば回数を増やしていきましょう。
息を止めずにやりましょう!
痛みや疲労感に合わせて力と回数を調整してください。
脚の運動『クッションスマッシュ!』
『クッションスマッシュ!』は、横になったままで取り組める脚の運動です。
丸めたクッションやバスタオルなどを、膝の下において押しつぶします。
脚を床に押し付ける時に、お尻の穴をキュッと閉めるようにすると、お尻の筋肉にもトレーニングの効果を得られます。
脚の運動『クッションスマッシュ!』の方法
- 横になり脚を閉じます。
- 膝の下に丸めたバスタオルやクッションを入れます。
- ゆっくりと脚全体を床方向に押し付けます。
- しっかり押しつけたらそのまま10秒数えます。
- カウントが終わったら、ゆっくり力を抜いて1.の姿勢に戻ります。
- 5秒ほど休憩したら3.から繰り返します。
かかとは、しっかり床につけておきましょう。
息はとめないでゆっくり深呼吸をしながら運動をしてください。
全身の運動『ウォールスラスト!』
『ウォールスラスト!』は、全身の筋肉を鍛える運動です。
自宅の壁を押すだけで良いので、トイレに立ったついでに行えるのでおススメです。
全身の筋肉を使う運動なので、疼痛や体調に合わせて壁を押すちからを調整してください。
全身の運動『ウォールスラスト!』の方法
- 壁から少し離れた位置に正面を向いて立ち、足を肩幅程度に広げます。
- 肘を伸ばした状態で壁に手をつきます。この時、手は肩の高さ程度にします。
- まっすぐに壁を強く押すように力を入れていきます。
(腕とお腹、お尻から足先に意識を向けてしっかりと筋肉を使うようにしましょう。) - 10~20秒ほど、壁を強く押しながら姿勢を維持します。
(自分の体調に合わせて時間を調整しましょう。) - 力を抜いて1.の姿勢に戻ります。
- 5秒程度休憩し、2.から繰り返します。
※体調や痛みに合わせて実施回数を調整してください。5回くらいから始めて、余裕があれば20回くらいまでで調整しましょう。
壁を押している時には息をとめないように注意!
痛みがある時には無理をしないでください。
記事の振り返り:線維筋痛症には等尺性収縮の運動がおススメ
『等尺性収縮』を伴う運動は、特別な器具が不要で負荷量の調整の簡単にできるため、場所や時間を選びません。
横になったまま実施できる運動もあるので、線維筋痛症の患者さんでも無理なく取り組むことが可能です。
まとめ
線維筋痛症になってしまうと、からだの痛みや倦怠感が強く出現するので、継続的に運動に取り組むのが難しくなります。
しかし、長期間からだを動かさないと、筋力低下や関節拘縮が生じて痛みが増加する場合もあります。
今回紹介した3つの運動に取り組むことで、廃用予防や身体機能の高h上が期待できます。
ただし、痛みや倦怠感が強いときに無理をするのはやめてください。
無理に運動を行うと良い効果が得られず、痛みを悪化させる原因になる場合もあります。
また、新たに運動に取り組む場合は、担当医師に相談するようにすると共に、運動による痛みの変化があれば必ず情報を共有するようにしてください。
無理なく運動を行いからだの機能維持に努めましょう。
最後まで読んできただきありがとうございます。本記事がお役に立てば幸いです。
それでは、またのおこしをお待ちしております。
線維筋痛症は長い闘いになることも珍しくないので、
無理をせずに運動を習慣化していきましょう!